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SMC会員の荒井さんが2002年から03年にかけて、加藤ボートのSK25(懐かしい船ですが)を購入しレスアした記録です。現在この艇は、三浦市の「宮川フィシャーマンマリーナ」をホームポートとして休日には江の島まで遊びに来ます。シングルハンドのセイリングに色々の工夫をした内容が記載されています。電気関係、木工、その他諸々の作業内容が紹介されています。荒井さんは船舶の通信関係の専門化で、サー・ノックス・ジョンストンが主催する世界一周クルージング艇団がベイサイドマリーナ寄港時に、船舶の通信関係の修理を担当しました。

Project X

1//1年3月~1//2年7月20日
購入からレストア作業

SK25 へのこだわり
趣味の世界は職業としているプロではないのですが、ついこだわりたくなり、趣味だからこそかもしれません、損得勘定はないですから。何にこだわるかは人によってそれぞれで、性能、デザイン、メインテナンスが少なくて済む、艇のサイズ、もちろん価格と購入後のランニングコストは重要です。

船を選ぶにあたり条件として、丈夫な船(ハル)で有る事、保進性が良くなるフルスケグである事、一般的にメインのセールエリアが比較的小さくなりブームが短くなるマストヘットリグである事と、そして大きさはランニングコストを考え25フィート前後、が条件でした。
候補にまず上がったのは米国製のフリッカとダナ24でしたが、中古艇は日本に無い事か幾つか問合せたところわかり、また価格も中古とはいえ二回り大きな新艇ほどになり私大生を二人抱える我が家の財務長官の承認が得らる事ができず作戦変更、それでは古い船(丈夫)な日本製を探し始て世界一周と南極まで行った実績のあるリンフォース工業のBW24 か25、またまたエクメドメール(26 フィート)、バイキング22等々を見に行きましたが価格的には非常に安価であり、それはそれで良かったのですが、何かピント来る物がなく今一つの感じが残り、そんな中で渡辺修治設計の辻堂加工のTK25 と横須賀/加藤ボート製SK25 の存在を27 年前の雑誌「舵」で知り、ベテランセーラーに30年程昔に帰ってもらって感想を聞き、またCruising World 誌(1993/9 号) のSK25 が太平洋の横断して無事に油壷に帰港した記事「帰って来た長距離航海者たち93」を読んで参考にして決定。

SK25 のようなクラシックスタイルのヨットは、使い込めば使い込むほどに味が出てきて飽きる事がなく、そして外洋性も考慮されていると感じました。実際試乗してみると帆走性能面で言えば、SK25 はレース艇のようにシャープな切れ味は無くどちらかと言うと鈍で、と言う事は、反応が遅いと言う事で、それはそれでメリットとして機敏な動作を要求されないので対応も余裕が出来き、レース艇など素早い対応を要求される艇と比べて大きく異なり、シングルやショートハンドでのクルージングには向いていると思ったからです。

クラシックスタイルの船は現代のヨットに比べますと幅が狭い、そうするとキャビンが狭く天井も低いという事になります。幅が狭く船底が深い、と言うは時化た時にはソフトで波に叩かれる事も少ない、従って疲労感も少ない、そして天井が低い分重心点も低く、どっしりとした感じがあり初期段階での腰はあまり強くは無いのですが、ヒールが進むに従い復元力が増し、なかなか転倒しません、と言う事は、幅が狭く、船底が深く重い船の方が最後の局面で生き残る可能性が高いと感じました。

あくまで一般的ですが現代の幅の広いヨットはレーティングの影響ではないかと思います??(レースでのレーティングが有利になるようにデザインされている) 幅を広くして船底はフラットで喫水が浅く、お皿を水に浮べたような感じになり、そうすると走る時には押しのける水の抵抗が小さいし、少しヒールしても幅が広いので初期段階での腰の強さがあるので大きい面積のセールを張る事ができ速い艇となる事になり、そして、キャビンも広くなりますし。自然の力はレース艇だから、小さいからとか大きい船だから、ましてや初心者だからなんて考えてくれません、時として有利なレーティングを得る事は船の外洋性能のUP ではなくマイナス要因を作り出す事にもなると考えました。

私は、艇体がしっかりした、<その為に少し重く(遅い)なっても良い>を選びました、風上にあるマークを誰よりも早く廻る事は考えず、ただ純粋に同じサイズの船と比べて、楽くて安全にクルージングでき、時には船が私を助けてくれる船として。

どのヨットが“良いとか・悪いとか”では無く、どういう乗り方をするかだと思います。自分に合った乗り方をしませんと楽しくないし長続きしませんから。昨今のプロダクション艇でも丈夫な船はあります、だた25フィート前後のサイズですと国内では数は少なく、そして一般的に驚くほど市場価格は高額です、やはり作りの良い船は良い材料を使い熟練した職人が造っているので高価なようです。

SK25 を購入するにあたりヨットに関する本を図書館で読み(工学書みたいで私の能力では理解困難でしたが)、また購入し通勤電車や、出張中の飛行機やホテルで時間の許す限り勉強致しました、分らない事があれば人に尋ねました。その中でも興味を引いたのは、「軽排水艇」・「重排水艇」と言う言葉で、これはD/L 比と言われ排水量とフィートで表した長さの1 /100 の3乗 (排水量/水線長)と言う係数から出てきている数値であり簡単に計算できます、この意味は外洋性を考慮した艇なのか沿岸を走る事を目的としたスピード性能の高い船なのかがわかります。

例えば(各艇の係数):
ベネトウ・ファースト265 :179
リベッチオ  :182
ヤマハ25IIIEX  :190
ソレイユ・ルボン26  :240
BW25  :284
SK25  :303
バンクーバー28  :333

実際は荷物や人の重量も加える訳ですから上の数字より多少数値は上がると思います。

一般的にD/L 比が0~125 超軽排水艇125~200 軽排水艇200~260 中排水艇260~325 概ね重排水艇325以上重排水艇と言っているようですが、人によって多少の係数が前後するようです(本の著者によって)。ただ、これらの数値は単に比較の問題ですが、船を選ぶ為の一つの目安にはなるとは思いました。 (SK25 の仕様, LOA: 7.485m, LWL: 6.096m, Width:2.357m, Disp.:2,463kg)

購入SK25 を購入するにあたり、横浜・博多・霞ヶ浦へ売りに出ているヨットを合計7艇見に行き、そして最後に行った霞ヶ浦の艇に決めました、決めた理由としましては船齢が30年以上ではあるが、マストが8年前にTM007に交換してある、(と言う事はスタンディングリギンも交換済み)。このTM007 は30フィートクラスのレース艇にも使用されているのを以前より何度か見たことがありましたので、25フィートのマストヘッドリグなら十分の強度と判断し気に入りました、そして何より海水ではなく淡水に艇があった、そして塩害・電錆の問題が少ない、そしてハルもしっかりしていましたので。

FRP 船の安全寿命は、約20 年~25 年と何処ぞかの本で読んだことがあります。その時点で、更に延命をはかるか、廃船にするかという選択にせまられるということになります。
FRP 自体の問題(ハル)やスルハル、マストやリギン等々の艤装品の問題があると思いましたが、前のオーナー及びその前のオーナーは何時なにをどう修理または交換したか、キチット船舶検査手帳に記録があり、そして延命処理を施してあり、記録と現物を確認してみると、これならまだ行けると思いました、レストアしようと。
確かに古い船はある時点で延命処置を施してないとゲルコートが紫外線で破壊されてデッキを歩くとミシミシと音する船もあります、このようになってしまったら新たに補強の為に積層しても手遅れでFRP 船といえども再生は不可能と思っています。ビジネスとなると延命をはかるのは、「その艇の価値に見合ったコスト」市場価値との兼合いになるのですが、個人が所有する船は趣味の世界ですから採算は無縁な事だと思っています。

そして購入を決めたのは、前オーナーの人柄が良く、船に掛ける愛情が感じられたのとジブファラーやPSS が既に艤装されていた事も理由の一つでした。
上架中にハルの古いペイント除去の作業後にプロにアドバイスを受けましたら、マダマダこの船は大丈夫、私の寿命より長生きするとアドバイス。私が購入にあたり見た中にはレストアするのにも多くの時間と費用を要するような、酷い状態の艇もあり、レストア不可能に近く最初から造り直す必要があると感じる艇もあり、中には有るはずのスケグの無くバランスドラダ-に変わっている不思議な艇も。

レストアレストアや修理を全部自分でやるとなると、これは広範囲な知識と道具、そしてレストア作業の出来る場所の確保と沢山の時間と気力が必要で、これは私を含めた一般的な人(サラリーマンなど)ではとうてい無理な話しです。
ですから、「何をしたいか」という希望をプロに伝え、そして相談しながらプロの仕事はプロにお願いし、自分で出来る所は自分でやる事にしました。プロのアドバイスをもらいながら、物によっては道具を貸してもらって行いました。
私がお願いした京成マリーナでは、人力でコツコツ作業をしていると、時には見ていられないのか、電動工具を持ってきて、「これを、こう使ってやりなさい」、とアドバイスを受けて行い、そして、「極力自分でやりなさいと言う」方針であり、そうする事により船の事もおぼえる、そして、海上でのトラブル発生時の対処もしやすいから。修繕に必要な細かなパーツやアドバイスを受け、またまた工場内の工具・工作機械などを自由に利用させて頂きました、通常は工具の貸し出しや機械の利用は何処のマリーナでも不可です、当マリーナにも大きく工場入口に記載されていましたが。                    

デッキの古い塗装を剥がしています 段々綺麗になっていきます
ハルの塗装が終わった“みらい”と愛車とのツーショット 
2002 年5月、霞ヶ浦の京成マリーナにて

陸送2002 年6月に大きな個所のレストア作業が京成マリーナで終わり、陸送を都内の運送会社にお願い致しました、当日は夕方近くに京成マリーナにてトラックに積込み、翌日の早朝に横浜ベイサイドマリーナに到着、費用は船台のリースを含めて65,000 円。                   

いよいよ横浜に向け出発です 船台に乗せるところ、京成マリーナにて

年が変わり、購入してから速いもので一年が経ち作業場所は、昨年の6月より霞ヶ浦から横浜ベイサイドマリーナに移りましたが、マダマダ継続中です。デッキに張るチーク材は新木場にある“もくもく”の「計り売りコーナー」(¥50/100g)で購入し安く上げていますが労力と時間は必要でした。
チークの木目は正目を使用しますが(板目は、張ったあと歪み暴れるので不向き)、量り売りコーナーへ買いに出向いても一度では欲しい量が揃わない場合もあります(安く上げる為ですが)。

《Page 2へ続く》

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