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セーリングと水の環境問題

◆ 理想のセーリング海面とは ◆

セーラーにとって海域を話題にするとき、風、潮、波の条件が重要ポイントと、十分にコースの設定が出来る海域の広さ、深さも重要で、浅い海域だと風でチョッピな波がでてセーリングしづらいし、完沈するとマストが刺さって折れてしまうなどの問題があり、一方、深いとマークの設定や運営艇のアンカーリングが大変で、一度艇を固定するとアンカーを上げて再度位置を直すのに時間がかかることからレース運営が難しい。(半沈・完沈サンプル写真

ハーバーやマリーナの施設と利便性、交通の便、宿泊設備等々も大切なアイテムである。

江の島・葉山間の海面は数ヶ所の定置網があり、其れによりレースコースの位置が制限される事を除けばレース海面として全ての条件に適合している。

(海の中に好きなようにレースコースを設定できるわけではない。何種類かのレースが同時に開催されると、レース海面を指定して、その場所で行ってもらうことになる。参考のレース海面図は毎年定置網などの障害物を調査して作成する)
  江ノ島は葉山間のレースコース (NPOSMCメンバーが作成しています)

海面にゴミや海藻の残骸が多いことは、セールボートにとって困った事であるが、豪雨後の一部を除いてゴミの問題も少ない。水域の水質については誰も気にしていないのが現状だ。

先日、江の島のレースで奇妙な発言を耳にした。地方から来た学生セーラーが「ここは海水が飲めるから良いですよ」と言っていたが別に喉が渇いたから海水を飲んだわけでなく、セーリング中にスプレーを浴びて口の中に入ってくる。これに安心していられるということらしい(口を閉じないとセーリング出来ないところもあったのだ!)この発言からレース参加者の中で、自分達の海域の海水の色の話しで盛り上がった。

◆ 海の色を例えると → ウーロン茶! ◆

 「西宮の海はウーロン茶、芦屋の海はほうじ茶と西宮では言っている」
 「西宮とか琵琶湖は缶コーヒーと呼んでいる」
 「自分は東京湾でレースして、スプレー浴びて下痢した事がある」
 「自分も目の病気になった」
 「私も汚い海水のために肝炎になって、一年間程ビールが飲めなかった」(個人的に言えば、単に酒飲みで体を壊しただけかもし
  れません・・(*^。^*)  )
 「OPのレースで父兄がレース支援のゴムボートの床に置いて海水に濡れた缶のお茶を飲んで口唇が腫れた」(事実です)
 「下水処理場の傍だから、現物が流れているのを見た」
 「ハーバーに戻って艇を見たら、船体に波の形に色が付いていた」
 「アンカーを艇に収納する前にヘドロを落して洗わないと船中臭う」
 
他の地域のセーラーは意外と危険な海域でセーリングしている事がわかった。飛沫を浴びただけで健康を心配せざるを得ない海域もある。
 「現在でも、閉鎖系水域は汚染がすすんでいるから…」(多少環境問題の知識あるセーラー)
 「牡蠣の養殖には、養分としてし尿を撒くらしい。だから水も汚染されますよ…」「其れは昔で今は行っていないとの訂正あり (この噂は 以前は事実であったらしい)」

江の島海域では考えてもいないことが、全国各地であるようだ。

◆ 閉鎖系水域とオープン海域 ◆

湖沼や湾などの地理的な閉鎖系水域がある中で水質汚濁防止法により東京湾、伊勢湾、瀬戸内海が水質総量規制の対象地域として通常のSS、BODに加えてCOD(化学的酸素要求量)の排出量が規制されている。これらの改善策の実行によっても一向に成果が得られず、更なる対策が検討されているのが現状である。しかしながら、これらの海域での水の交換は長時間かかるであろう事は地図で見れば一目瞭然であり、根本的な対応が難しい。
(BOD、COD、SS等の言葉、閉鎖系水域などに関しては、環境関係のHPや行政のHPに詳しい説明あり。参照願い足し)

一方、湘南地方の海域は水が綺麗(安全)に保たれている理由は簡単で、ここは外海であるからだ。相模湾は湾といっても、殆ど外海のようなもので、黒潮の影響で湾内を三浦半島から伊豆半島に向けて黒潮と反対方向に海流があり、河川からの汚染物質も希釈しながら太平洋へと送り出す。

昭和30〜40年代に問題になった陸地からの汚水の排出(片瀬川の汚れはひどいものであった)は流域の整備で格段に改善された。当時の汚濁物質が海底にヘドロとして堆積していると主張する人達もいるが、東京湾と違い全て太平洋に流されてしまっていることは、この海域で何時もマークの設定や艇の固定でアンカーを使ってみれば一目瞭然である。

《江ノ島沖の海底調査》
1990年に行なわれたサーフ90のイベントの中に、海底調査を売り込んだ者がいた。江の島沖はヘドロが堆積し、不法に投棄された自転車や冷蔵庫が沈んでいると主張しているのを聞いて、まさか此れが取上げられるとは思わなかったが、チャンと予算が付いたのには驚いた。いつの時代も口で生きている者はいるものだ。当時は粗大ゴミの収集で何処でも道端に出せたのに船に乗せて沖まで冷蔵庫を捨てに行く人もいないのに、意外とこの様な主張が環境教信者に支持されてしまう。
結果として期待した海底の汚染が無く、報告書の作成は困ったようである( 海を餌に行政から資金を引き出そうとする人がいるわけだが、意外と普通の人が簡単に同調してしまうのが不思議であった。いかに、海に関して無知な人たちが多かったと言う事だと思う。

◆ 海域の水質保全 ◆

下水道普及率95%以上の近代都市で東京湾とか瀬戸内海などが閉鎖系水域で厳しい水質の放流規制を行なっても汚濁は改善されずに河川や海域に汚染がすすむ原因は何か?人間が生活していくことで自然界のエントロピーが増加していくのは必然の事と言ってしまえば其れまでだが、これら水域汚染の大きな原因の一つが、実は未処理の下水等である。

 ○ 下水道が整備されている都市部の中でなぜ未処理の下水が水域に流されるのか?
 ○ これは下水道整備95%とは下水が普及したエリアの割合で、処理の割合ではないからである。

【 ヨットとCSO問題 】  最新の環境問題をここで取り上げる
(注記:CSOとは合流式下水道のことで、次の京都市上下水道局のHPにわかり易い説明がされている http://www.city.kyoto.jp/suido/gouryukaizen_hituyou.html )

最近話題として出てきた言葉が下水のCSO (合流式下水道の雨水時のオーバーフロ問題) である。 実は以前からの問題で環境の専門家である横国大の中西準子先生などが昔から指摘されてきた問題であったが、一般の人には知られていなかったと言うより知らせていなかった。
家庭から出る下水は100%を下水処理場で処理されていたわけではなく、処理できる条件の時に処理し、出来ない時は余分な量をそのまま外に出している。処理が出来ない時とは、豪雨で雨水が下水道に大量に入り処理能力を上回った時の事である。

都市部では下水道と降雨時の雨水排水が同じ管路を利用している。最近、下水道を設置した都市では別々に管路を設置しているが、昔から下水道がある大都市部は殆どが共用している。これらを合流式下水道と言い管路の設置の費用が少ないことが利点であった。東京都などの大都市でこれから雨水用の管路の設置工事を行なう事自体が道路整備も完了した現時点では困難である。一方、近年下水道の整備を行なってきた地方の都市では雨水管路を別々にしているのを分流式下水道が採用されている。

合流式下水道では、雨が降ると、街に降った雨水も下水と一緒に下水処理場へ行く。下水処理場で下水の浄化(浮遊物質の分離と溶解している有機成分の酸化分解を生物的な手法で行ない、固形分を除去した処理水を消毒して放流する)を行なうキャパが決まっている(設計水量の2倍、最近は3倍を目標)から、急激に水量が増加すれば、余分な分は外部に捨てる。生物処理をしているのだから、生物さんに急にノルマを越えた仕事をしてもらう事は出来ないわけで、当然と言えば当選である。下水処理場に入る前でも、地域に分散されているポンプ場や川の傍を通る管路に設置されたオーバーフロー堰から直接河川に流す場合もある。

台風のような長期の豪雨は河川の水量も多く、そのまま海まで流れだして拡散するが、夕立のように短期間の豪雨では瞬間的に生の下水(し尿も含む)が河川、海域に流出して、そのまま漂ってしまう。
降り始めの30分程度に流出するものは、管路に溜まったゴミや汚物を流しだすので、特に汚濁の原因となる(分流式もこの点から見れば同じ)

CSOの問題は、最近新聞報道された東京湾のお台場に流れ着いた油の塊等々は、これらの原因で下水管や下水処理場から直接流れ出した未処理成分であるり、この記事から広く一般に知れ渡った。

◆資料◆
 海上保安庁海洋情報部のHPからお台場海浜公園のオイルボールの写真http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/SAISEI/photo/odaiba-n.html

 東京都下水道局のHPよりお台場浄化実験とオイルボールの写真 
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/odaiba/index.htm
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/odaiba/faq/oilball.htm

日経BP社のHPでも取上げられている
http://nikkeibp.jp/sj2005/special/10/03.html

江の島でも片瀬川や引地川の上流の都市から流出してくる事はあるが、相模湾は外海と同様なものと考えてよいので最終的に黒潮が処理してくれる。法律は全国一律(閉鎖系水域のように例外もあるが)に施行されるので、地域的な特性によって結果が大きく異なる。実は藤沢市も2005年に鵠沼の引地川(浜見山ポンプ場)にCSO対策の施設を造った。これまでは、全て川から海へ流れていたわけである(サーファーは誰も知らなかったと思うが・・・・・(^^♪  )

(話題とは別に:江の島大橋の下に砂が堆積して、東浜の方に片瀬川の流れが来なかった。東浜の砂が減少すると地元からの要望で何回も橋の下の浚渫を行なっていたが直ぐに元に戻ってしまった。しかしながら、片瀬漁港の建設で堤防の形状が変わったことからか現在は砂の堆積箇所が移動して橋の下に海面が存在する。ヨットハーバーでは北風が吹くとハーバー内に片瀬川からのゴミが堆積してゴミの撤去に大変な労力がかかる結果となった。川の流れや砂の堆積は一寸した堤防の変更にも影響われる。)

相模湾は東京湾や瀬戸内海とは海域の状況が異なり、汚濁の拡散速度も速いが、短期的な集中豪雨後の晴天などは衛生面から注意した方が良い。

◆ お台場海浜公園の水質とウインドセーラーへの警告 ◆ (水を飲んでは駄目だとの事)
お台場の汚染の記事が出た後で、お台場海浜公園の水質のデーターを見たことがあるが、季節的な変動がある中で、大腸菌が30,000個/100mlとか多いときは500,000個/100mlもある。条件が良いと3,000個/100ml程度。
これだけでは意味が不明と思うので、以下の海水浴場の基準と比較してほしい。これほど汚い海水浴場は無い事がわかると思う。

◆参考◆ 
( 海水浴場の基準を示すHP )
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/odaiba/faq/suiyokujou.htm
http://mizu.nies.go.jp/suiyoku/info/index.html

水浴場の基準は水質A,B,Cのランクがあり、一番悪い水質Cでも1,000個/100ml以下。当然水浴場としての利用は不可。

昭和30年代に江の島の海水浴場の大腸菌数が問題化した時、片瀬川の河口付近(今の山本橋あたり?)から塩素注入して川の水を滅菌していた。片瀬、江ノ島の海水浴場での大腸菌測定対策である。環境問題に機敏な今ではとても考えられない滅茶苦茶なやりからたであるが、当時は海水浴客誘致の為のアイデアであったのだろうが、一体誰が考えたのだろう?

【規制とか基準をつくると、それをクリアーしようととんでもないアイデアが考え出される】
有機性塩素系溶剤による地下水汚染問題 (フロン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン) が発生して、ドライクリーニングの排水規制が制定された。
ドライクリーニングの溶剤としてテトラクロロエチレンが使われていた。下水に排出する排水の溶解成分の規制値が決まり、各クリーニング屋さんに排水処理装置が設置された。ドライクリーニングの排水量は少ないので、タンクに貯めて、その中に空気を吹き込んで溶剤を揮発させれば残りの排水の溶剤成分は規制値以下になる。
確かに法律的には問題ないが、大気に放出すれば地表に落ちてきて地下浸透するのは自明であり、規制目的の地下水汚染防止の趣旨に反する。
国内最大重工業の関連企業の製品は、クリーニング屋にある蒸気で排水を全部蒸発させ無排水処理装置を特長として売り込んでいたが、何を考えているのやら…・・。ここまで来ると、エンジニアの専門バカの問題ではなくなる。企業の経営理念が疑問視されると思うが、誰も指摘する者がいなかった様だ。一方、クリーニング屋さんの方でも、規制の趣旨は理解されていなかった。処理装置が故障したので下水には流せば違反なので、自宅の庭に穴を掘って捨て排水を捨てたそうである。

規制精神を理解させないで規制値だけ要求すると、この様な喜劇的な結果を生む例である。

お台場海浜公園のHPにもチャンと遊泳はできない事を明記してある。
http://www.tptc.or.jp/park/odaiba.htm

また、浄化のための実験も東京都で実施している。http://www.gesui.metro.tokyo.jp/gijyutou/gn16/nenpou_2004/REPORT62.PDF

この場所にはウインドサーフィンの施設があり、ウインドサーファーはこの海域を利用している。これが都の売りだったらしい(都心でウインドができること)。場所でウインドのレースを手伝った人から聞いたが、アンカーを上げるとヘドロが付いてきて臭くてたまらなかったとのこと。

【都庁の不思議な発言】
遊泳が出来ないところで、何故ウインドが可能か?と疑問に思うが、水質に関する会議議事録で次のように述べられていた。
「この場所は水浴場の基準に適しないから水遊びは出来ないが、ウインドサーファーは海水浴客でないから規制対象外である」(正確には覚えていないけれどもこの様な内容だった。すなわち、法的には問題ないとの事である)
ドライクリーニングの水質規制と同様に、何が目的で作った基準値なのかが抜けている。

人間の健康に対する安全が目的の法律であり、規制であるが、追求すると都心のウインドサーフィン可能エリアが無くなってしまうことになり、都庁の考えに同意するよりない。マリンスポーツは全て自己責任で行うので危険は自分で対処するより仕方ない。但し、情報が開示されての自己責任だから、本文を読まれたサーファーの方は各自で判断願いたい。
《 好意的に考えれば、ウインドサーフィンもセーリングスポーツに分類されているから、セールボートと同じ船を使った遊びと思われているのかもしれない。船に乗るのを禁止したら東京湾の海上交通が成り立たない 》

《 下水処理場の間にある親水海域 》
この地域は、対岸に芝浦下水処理場と有明下水処理場があり、両岸から下水の攻撃を受ける素晴らしい環境の海域のようだ。
東京湾の奥にある砂町の下水処理場の対岸は都の「夢の島ハーバー」があり、夏になるとハーバー内で泳ぐ人がいるとのこと。子供にも泳がせているらしい。当然遊泳禁止であり注意しても無視されるとハーバー管理者は困っているが、事実を開示すれば規則はタチドコロニ守られると思うが、逆に水質を攻められる方が恐ろしいかもしれない。

相模湾もサーフィンのポイント(波が良いところ)に不思議と下水処理場がある。
七里ガ浜と辻堂は両方とも放流水口のところである。七里ガ浜は山の中に下水処理場があるので、誰も浜に下水の放流水が来ているとは知らないだろう。放流水は塩素で消毒しているから、サーファーの髪が茶色になるのは塩素による影響か?

因みに、下水放流水の大腸菌の基準値は3000個/ml以下。水浴場基準と単位が違い、換算すれば100倍して300,000個/100mlになる。

下水放流水は海や河川で希釈されるからこの値でOKだが、東京湾の水質はこれと同じ程度になると考えれば良い。河川放流された下水は希釈され海に出る前に十分に薄くなっている。ところが、田植え時期などで農業用水に河川の水を使うと下水放流口より上流はほとんど河川の水が無く、放流水が川の水量を維持することもあり、川で希釈されるから安全だなどと言っていられない事もある。

◆ 大腸菌と菌類 ◆
水質に関して大腸菌数で評価されるが、O-157など特殊な大腸菌を除き別に何も危険な菌ではない。人間の腸の中に存在するのだから、悪い菌では無い。
この様な菌のことを指標生物と呼び、これを計る事で必ず病原体が同じかそれ以上いる事を示す。測定するのは糞便性大腸菌群と呼ばれて、これが存在することは糞便があることの証となる。

◆ 動物に注意 ◆
http://www.town.hidaka.hokkaido.jp/hmc/mountain/beginner/Mt3.htm
北海道では清水を飲まない(生水)と言われてるが、有名なキタキツネの糞に「エキノコックス」という寄生虫が含まれているからである。
流石に湘南海岸ではエコノコックスはいないが、大腸菌の一種のO-157とか、原虫のクリプト(クリプトスポリジウム)が糞便の中に存在する可能性はある。

水の細菌や微生物による危険はあるが、これは一般的に水が汚い(濁っている、透明度が無い、ごみが浮かんでいる) とは切り離して考えるべきである。前述の細菌や原虫は透明なキレイナ水にも存在し、大腸菌も目に見えるわけでは無い。しかしながら汚い水は透明なキレイナ水よりは危険性が大きいことは確かである。

O-157やクリプトで亡くなる人もいが、大多数の人達は症状が出ても回復する。特にクリプトは一度かかると抗体ができて次からは耐性により平気になる。東南アジア等の国々に旅行して下痢に悩まされる人が多いが、現地に定住している人は子供のころに抗体ができているので常時下痢しているわけではない。

◆ 参考 ◆
クリプトスポリジュウムに関してのHP 
http://www.tokai.or.jp/amiad/CSP.html

鳥取市水道局のHP
http://www.water.tottori.tottori.jp/new/change.html

神奈川県衛生研究所
http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/003_center/0306_topics/files/topics040927.htm

◆ クリプトスポリジウムの事例 ◆
クリプトは塩素消毒で死滅しない原虫(細菌より大きな微生物)で近年問題化している。クリプト問題に関しては別に記載別ける。

(1) 平成6年8月に、神奈川県平塚市の雑居ビルの受水槽がクリプトスポリジウムにより汚染され、約460人が集団感染。
(2) 平成8年6月に、埼玉県越生町において、我が国で初めて、水道水を介してのクリプトスポリジウムによる集団感染が発生。越生町人口約13,800人のうち、約8,800人が発症。

厚生労働省HPより
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0910/h1008-1.html

◆ 海底の危険物 ◆
前述のお茶の缶に口と付けたら唇が腫れたことは、細菌や微生物のせいだとは考えられない。以前、水俣の水銀が問題になっていた頃に瀬戸内海でヘドロの処理実験に参加した経験がある。その地域産業の排水がその海域に沈殿している処理のためである。サンプリングしたヘドロを分析員が誤って自分の腕へ付着させたところ発疹が出た。

汚泥は危険だとの事で、以後海の上での作業に夏の暑い盛りだが長袖のシャツを着せられた。浚渫用パイプの接続作業でヘドロを含んだ海水を頭から浴びたので、直ぐに海から海水をバケツで汲んで頭から被り洗い流した。周りから心配されたが特に症状は無く、皮膚の強さも個人差があると感じた。
危険物質の浚渫を行う場合は、運輸省の管轄だが、この試験は水産庁の関係で行ったことで、浚渫(汚泥の除去)とは言わずに、海底表面のヘドロを除去して固化処理の実験としていた。
しかしながら、その地域特有の重金属の沈殿があり、対応が微妙な点であったが、その地域の漁組はヘドロ処理による漁場の汚染を監視にちょくちょく来ていた(実験の内容が知られていなかったようである)。問題は、長期滞在した旅館で毎晩その地域で捕れる魚が毎晩の食事に出る事であった。
藤沢市の漁港整備に関して、委員会で討論の中で、反対意見は漁港を整備する費用に対して、獲れる魚の価格を比較してメリットが無いとの事を主張した。賛成意見は相模湾で獲れる安全な魚を市民が食べる機会が増えると主張した。
魚の安全性に関して、参加メンバーはあまり興味を示さなかったが、確実に安全と言える相模湾の魚を食べられる意味は大きいと思う。

◆ 殺菌の為の塩素のリスク ◆
環境に関連した仕事をしている者から見れば、水の成分としては有機物より無機物の方が遥かにリスクが大きいと思える。人の体内から出たもの自体は、汚いがそれ程危険ではない。
下水放流水は塩素で消毒しているが、塩素と有機物が化合して発がん性の塩素副生物ができる。下水は完全に滅菌して放流するのではなく、規制値が大腸菌数が3000個/ml以下で、それに合わせて適当に塩素を注入している。下水道処理場の処理水は消毒無しでも通常の状態では3000個以下になっているが、処理が悪い時期のために使われている場合もある。

《下水放流水の殺菌を紫外線で》
相模湾で、佐島の小和田湾では湾内のアマモ(海草)が下水消毒の残留塩素で被害を受けることを防ぐため横須賀市西下水処理場は塩素の代わりに紫外線消毒を行っている。これは佐島の大楠漁業組合の要請だと言われている。

アメリカのカルフォルニア州では下水の消毒に塩素は禁止されて紫外線が使われている。放流先に稚魚の養殖や海苔の養殖がある場合、塩素消毒の代わりに紫外線(UV)を使うことが国内でも増えてきた。有明海(熊本県)でも海苔の養殖に下水放流水の塩素の影響があるとの事で、紫外線殺菌で代用されているところがある。

放流して海に行ってしまうのだから、消毒など必要ないと考えると、次の問題がある。
日本の河川は上流に下水の放流口、その下流に浄水の取水口があるケースも多くある。淀川水系では大阪の水道水は数回人のお腹を通ってきていると言われている。東京でも埼玉、群馬あたりの下水が都市の水道水源となっている。したがって、伝染病が発生したりした場合、水道の取水口から大量の大腸菌を浄水場へ取り込むわけにはいかないので、下水の消毒が必要になる。

但し、塩素は稚魚や海藻にとって影響を与えるのだから人類にとって安全な化学物質でない。

水が綺麗だから安心と思われるが、化学物質が含まれている場合、水の透明度が安全の基準にはならない。特に、川に水には注意が必要であるが、意外と無頓着に考えられている。

◆ 川での水遊びについて、こんな事例

河口部分で工事があり、其れに関して地域住民を集めた検討会の中で、ある保育園の方からの工事反対意見が出た。主旨は、河口は駅から近いし、遠浅で子供達に水遊びさせるのにとてもよい場所であり、工事により場所が無くなる事に反対する旨、切実に話された。其れまで工事に関して賛成、反対と地元住民の中で喧嘩腰の議論が続いていたが、関係者一同戸惑いの雰囲気になった。地元の漁師さんも何か言いたい様子であったが、やはり言いづらそうで、結局地元の商店街の人が、河口は如何に危険であるかの説明を行なった。先ず、遠浅だといっても川の流れで直ぐに場所は変わってしまう。急に深くなる場所もあるし、流れの速い場所もあり、子供の水遊びなら河口から200m位離れた砂浜で行なうべき云々。これ以上の説明は行なわれなかったが、川の水質の危険性は海より遥かに大きい。

海に出れば、危険物質も希釈されるが、河川ではモロに影響をうける可能性がある。
CSOのケースのように大雨の後に河口で水遊びを行なうケースは無いが、河川の上流から危険物が故意でなく事故で流される可能性がある。
燃料の重油、機械の洗浄に使われる有機塩素系溶剤、中和に用いられる苛性ソーダや硫酸などの貯留槽が壊れ、そこから薬品が流出した新聞記事を度々読むことがある。

《河川への硫酸の流出》
次の事件(事故)が知られている。暮れに工場が休み入り電気配線関係の手直しをしていた電気工事屋さんが、梯子から飛び降りたら運悪く塩ビの配管の上に乗ってしまった。配管が折れて内部の液体が漏れ出したが、周りに人がいないので慌てて手で配管を押さえて止めようとしたが、我慢できず全部流れ出してしまった。液体が硫酸だったので排水口に流れ込み、それ以降、下水処理場から放流先の河川まで回復不能の被害にあった。この様な危険が発生する確率は決して低く無く、その他苛性ソーダや他の危険物が流出する可能性もある。

電車に乗ってやって来る人達が子供達にとって良い環境だと思っていた場所が、地元民からすれば誰も知っている危険な環境の場所である。自然や環境を大切にと活動する人達の中で、意外と自分の都合に合わせて自然に対応する人がいるが、自然は知識が無ければ非常に危険な時もあり、この危険は平等に無知な人に降りかかる事で、あくまでの相手(自然)の都合で物事を進める考えで行かないと危険である。
海で遊ぶ時間が長くなるにつれ、経験と技術も否応無しに積み重ねられる事で、自然がスケジュールを決めてくれ、それに合わせて海で遊ぶことに何も不思議に感じなくなる頃に一人前のセーラーになるようだ。

ハーバー施設の老朽化など問題がある江の島ヨットハーバーであるが、水環境に関しては、衛生面、セーリング海面共々、他の海域に比べて非常に恵まれた状況である事が結論になる。

PS:東京オリンピックの開催
某首都圏のヨットが趣味の知事が、2016年に再度オリンピック開催を打ち上げた!
この首都にあるセーリング協会は、前回は江ノ島で開催されたが、今度は東京湾を会場とするので、江ノ島は関係ないよと宣言した。
開催までに時間があるので、それまでに閉鎖系水域としてあらゆる汚染を溜め込んだ東京湾の浄化が進めば良いがと老婆心ながら心配しているところだ。
お台場の湾の浄化実験を行っているのだから、その大変さは都の職員の方はご存知だと思うが、将軍様に御注進する人はいないのだろう。こんな水質の状態で、世界から選手を呼べるのかと声に出して言う人はいないようだ。
ヨット界では水の汚染で苦い思いをしている。ソウルオリンピックで、女子470の選手がプサンの海の汚染で発疹、発熱してレースにならなかった事がある。多分、工場廃水に含まれる特定の化学物質のアレルギーだと思う。
70年代までの日本と同じような、中小企業の排水は垂れ流しの状態であったらしい。現在の日本ではこのような事は改善されたが、それでも下水のCSO等の海を汚す汚染源の改善はすすんでいない。
これら改善を行う事は、代々木のオリンピック施設再開発によるゼネコンへの仕事の供給以上の大規模な改善費用が必要になるが、もしそれが実行されればセーラーにとっては嬉しい話である。
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